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鼻の辺りでまっすぐ切りそろえた前髪のわずかな隙間から見える目は 重力を感じられないまま真っ暗な穴にひたすら落ちてゆく様に 俺を道の向こう側に誘う 口元ではボソボソと何か発しているがこの距離では聞き取れない 焦点の合わない大きな目が少しずつ近づいてくる 部屋の中では空間のわずかなズレを感じる 空気が膨張して 水に浮く油のようにフワフワと 意思を持って奴らは確かな方へと飛び回る 俺はただ目だけを開き体はビクとも動かない キャスパー達が部屋の角に吸い込まれるように消えてゆく と、俺の体の上には、あさってを向いた目をした影だけでできた少女が ギザギザに尖ったナイフのような影に全体重をかけている、俺の心臓めがけ 残像が見える程の一瞬だったが とてもゆっくりと命を奪う距離を縮めてゆく いい加減にしろ!!叫んで布団を蹴り上げた 少女はいたずらっ子の様に舌を出して消えていった 焼酎の入ったグラスが床に転がった 顔が痛い
by iepe112
| 2007-12-06 15:53
| ムイシキ
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